H20年-問8・弁済(権利関係)

難易度 ★★★(やや難しい問題です)
弁済に関する次の1から4までの記述のうち、判決文及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

(判決文)
借地上の建物の賃借人はその敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有すると解するのが相当である。思うに、建物賃借人と土地賃貸人との間には直接の契約関係はないが、土地賃借権が消滅するときは、建物賃借人は土地賃貸人に対して、賃借建物から退去して土地を明け渡すべき義務を負う法律関係にあり、建物賃借人は、敷地の地代を弁済し、敷地の賃借権が消滅することを防止することに法律上の利益を有するものと解されるからである。

  1. 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人は、借地人の意思に反しても、地代を弁済することができる。
  2. 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を支払おうとしても、土地賃貸人がこれを受け取らないときは、当該賃借人は地代を供託することができる。
  3. 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人は、土地賃貸人の意思に反しても、地代について金銭以外のもので代物弁済することができる。
  4. 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を弁済すれば、土地賃貸人は借地人の地代の不払を理由として借地契約を解除することはできない。

正解:3
【アドバイス】提示された「判決文」を前提として解答させるという、新傾向の問題です。
  1. 正しい。法律上の利害関係を有する第三者は、債務者の意思に反しても、弁済することができる。
  2. 正しい。債権者が弁済の受領を拒むとき(又はこれを受領することができないとき)は、弁済者は、債権者のために弁済の目的物を供託して、その債務を免れることができる。
  3. 誤りで正解。代物弁済とは、債務者が「債権者の承諾を得て」、本来の債務の内容とは別のものを債権者に給付することをいう。債権者である「土地賃貸人の意思に反して」、代物弁済することはできない。
  4. 正しい。債務の弁済は、第三者もすることができる。借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を弁済すれば、もはや借地人による地代の不払い(債務者による債務不履行)はないのだから、土地賃貸人は、借地人の債務不履行を理由として借地契約を解除することはできない。
>>>ポイント
この判決文の趣旨は、「借地上の建物の賃借人は、地代の弁済につき『法律上の利害関係を有する者』にあたる」ということです。この判決文が提示されたことで、問題文を読む際に余計なことを検討しなくてもよくなっています。つまり、この問題での出題のポイントは、この判決文の内容とは別の所にありました。