H20年-問12・親族・相続(権利関係)

難易度 ★★★★(難しい問題です)
Aには、相続人となる子BとCがいる。Aは、Cに老後の面倒をみてもらっているので、「甲土地を含む全資産をCに相続させる」旨の有効な遺言をした。この場合の遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. Bの遺留分を侵害するAの遺言は、その限度で当然に無効である。
  2. Bが、Aの死亡の前に、A及びCに対して直接、書面で遺留分を放棄する意思表示をしたときは、その意思表示は有効である。
  3. Aが死亡し、その遺言に基づき甲土地につきAからCに対する所有権移転登記がなされた後でも、Bは遺留分に基づき減殺を請求することができる。
  4. Bは、遺留分に基づき減殺を請求できる限度において、減殺の請求に代えて、その目的の価額に相当する金銭による弁償を請求することができる。

正解:3
【アドバイス】遺留分に関する難しい問題です。
  1. 誤り。遺留分権利者は、遺留分減殺請求権を行使することで、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈等の効力を否定することができる。遺留分減殺請求権の行使が要件であるから、「遺留分を侵害する遺言は、その侵害する限度で当然に無効」なのではない。
  2. 誤り。相続開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
  3. 正しく正解。遺留分減殺請求は、遺贈者から受贈者に対して所有権移転登記がなされた後でも行うことができる。
  4. 誤り。「受贈者及び受遺者」は、減殺を受けるべき限度で、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して、贈与又は遺贈の目的物の返還義務を免れることができる。「遺留分権利者」が、「減殺の請求に代えて」、「目的の価額に相当する金銭による弁償を請求できる」のではない。
>>>ポイント
肢1で間違えてはいけません。そもそも権利は、行使してはじめて効力を生じます。遺留分減殺請求権も行使されて、はじめて遺留分を侵害する限度で遺贈等の効力が否定されるのです。正解肢である肢3は、遺留分権利者保護の観点から理解できるでしょう。